オーストリアのおうちについて1

長い留学中、吸収してきたことは音楽のみではなく、ヨーロッパ人のライフスタイル・物の考え方等多方面にわたります。(むしろそっちの方が主だったかも・・・)
帰国して5年がたち主婦になってからは、生活や子育てなどに関して思い出の中に様々なヒントが隠されていることに気づかされます。
たくさん忘れてしまったこともあると思いますが、まだ記憶の中に残っていることを少しずつ記録しておこうと思います。(2007年1月記)

ウィーンのおうちについて

今から10年ほど前、留学中の一時期オーストリア人の家族と同居していたことがありました。
といっても、いわゆるホームステイではなく、田舎(ペルチャッハ)からウィーン大学に通うために上京(?)してきた兄弟とその友人たちとの同居で、いわゆるドイツやオーストリアでよくあるWohngemeinschaft-共同生活でした。

普通とちょっと違うのは、ご両親が子供たちのために購入したウィーン中心部のアパートをリフォームするところから始まったということです。
買ったばかりのアパートは最初は全く住める状態ではありませんでした。壁紙もドアもトイレもない、本当にコンクリートがむき出しのままで部屋のしきりがあるだけです。ある程度までは職人さんに頼んでましたが、基本的には自分たちで作るのです。ドアにヤスリをかけ色を塗り、電気の配線をし、水回りも内装も手作りなのには驚きました。

家族同様に仲良くさせてもらっていた私は、休みのたびにお母さんとIKEA(大型の家具センター)や必要あればイタリア北部の町、タルビジオ(タイルなど種類が豊富で安いホームセンターがあります)へ行き、一緒に内装を選んだりしました。

お母さんが一番こだわっていたのがキッチンでした。
日当たりが悪くてちょっと狭いキッチンをどうしようか、悩みに悩んで彼女が決めたテーマカラーは黄色と緑。壁紙も冷蔵庫も電子レンジも黄色で、木製の家具(ダイニングテーブルや棚)は緑です。その配色はちょっと・・・と思ったのですが、できてみたらなんとも明るくかわいらしいキッチンに!無難な色しか思いつかない私には新鮮でした。

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上:完成途中のキッチン
右上:カーテンと壁紙がお揃いのレモン柄でほぼ完成
左下:・・・数年後はこうなりました(みんなの喫煙所?)
右下:同居人全員集合
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キッチンの隣にある浴室も、こだわりがありました。
グリーンのタイルで統一し、洗面台などはイギリス製の陶器を取り寄せ、すべて自分たちで組み合わせていきます。
シャワーや水道の蛇口もクラシカルなものにして、完成です。真ん中の白い部分は後にちゃんと同色のタイルがはめられました。
このきれいな浴室、お風呂好き日本人の私ばかり使用して、あとのみんなはいつもシャワー室を使っていました。もったいない!bathroom

 

そして、リビングと私も使わせてもらっていた個室は、基本的にクラシックな雰囲気で統一されていました。

ウィーン中心地にある昔からのAltbau(古い建築様式の建物)の部屋ということで、天井も高く窓やドアも大きいため、それに似合うような家具や照明、内装です。
家具は新しい物はほとんど購入せず、田舎の倉庫に眠っていた100年ほど経っているような古い箪笥やベッドを運んできて、みんなで磨いて利用しました。ちょっとくらい壊れていようと部品が無くなっていようと、お父さんがササッと直してしまいます。
ドアノブや照明はお気に入りが見つかるまで、お母さんが何度でも蚤の市に通っていました。
テレビやゲームの配線などもむき出しにせず、見る(使う)時だけ開けるように棚の中に隠してしまいます。
ウィーンでもモダンな家や、すっきりとした収納のついたNeubau(最近の建物)のアパートなど、機能重視の住環境を求める人が増えているようですが、無駄にも思えるディテールにこだわったヨーロッパらしい部屋は私の中ではやはり憧れでありました。
簡単に物を捨てず再利用する、そんな発想が当たり前だからこそ実現した部屋でした。

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左上:リビング。写っているのは私の母です。母の後ろにある棚の中にテレビが隠れています。
右上:天井の高さが大体わかるかも。
左下:ウィーンの蚤の市。こういう所で小物や食器、家具の部品など結構な掘り出し物があります。母も油絵の画材探しにはまっていました。
右下:私の使っていた部屋の古いベッドがこれです。
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